性病(STD)の感染経路を知って予防対策

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が免疫機能を破壊して様々な病気を発症

エイズはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染によって起こります。HIVは一度体内に入って発症すると、免疫機能を破壊してしまいます。その結果、病気に対する抵抗力が著しく低下し、健康ならまず罹ることのない感染症や腫瘍などさまざまな病気を発症してしまいます。

初期症状は風邪に似ている

先進国でエイズ患者が年々増加しているのは日本だけとされています。さらに厚生労働省の研究によると、感染者として報告されていてエイズに移行した人数と、突然エイズとして報告された人数の比率から、実際は、感染報告のあった件数の約6倍の人が感染していて、本人はそれに気づかずに普通に生活(セックスも含む)していると推測されています。

HIVに感染しても、すぐにはなんの症状も現れません。感染してからエイズを発症するまでには、10年にも及ぶ潜伏期間があるのが、大きな特徴の一つです。潜伏期間中は、普段通りの日常生活を送れるのですが、体内ではHIVと免疫がせめぎあいを続けており、最終的にはHIVが免疫を打ち負かします。

こうなると全身のリンパ節の腫れ、発熱・下痢などの症状が続く、体重の急激な減少などがみられ、カリニ肺炎やカポジ肉腫と呼ばれる腫瘍に侵されたりして、衰弱します。

HIVを排除する特効薬は存在しませんが、失われた免疫力を回復させることでエイズの発症を遅らせて、日常生活を送れるようにする薬の開発が相次いでおり、以前のように「エイズ=死の病気」というイメージは無くなりつつあります。

HIVの感染力自体は非常に弱いため、HIV陽性の人と手をつないだり、キスをしたり、同じ鍋で食事をしたりするなど普段の生活で感染することはありません。HIVが多く含まれているのは、血液、精液、膣分泌液、性器の粘膜や皮膚の傷口を通してウイルス感染が起こります。

したがって、コンドームを着用しないセックス、粘膜が弱い肛門を使ったセックスを行うカップルは感染リスクがあります。また、赤ちゃんが体内にいるときや出産時に産道を通るとき、母乳を通じて感染する「母子感染」のリスクもあります。

完治が期待できる治療法がない以上、大切なのは予防です。ほかの感染症の予防対策と同様、特定のパートナー以外とのセックスを控える、コンドームを正しく使うことを心掛ける必要があります。